ひとつの見方

ネット販売に対抗する量販店の失敗

ヤマダ電機が赤字決算を出しました。この日が家電量販店がネット販売に負けた記念日になったかどうか?

ヤマダ電機は中国進出に失敗したそうです。その原因のひとつは、反日キャンペーンの中国TVドラマに出て来る日本兵の山田という同じ名前が重なったことです。これに加えて、自社ビルの高値づかみで引くに引けなくなっています。国内では、ネット販売の最低価格に対抗するため、現場の店長に価格変更の裁量権を持たせたことも混乱に輪をかけたようです。それで赤字転落?何か違ます。

ポイント

  • 家電はネットの方が安く買える
  • 家電量販店はネット販売のショールーム化
  • 家電量販店は安く仕入れて安く売る戦略で誕生し、最寄りの電気店を潰した
  • ネット販売の興隆は潰された小売店の反撃と言えなくはない
  • 家電量販店で買うメリットが見つからない
  • 価格.comに行けば、知りたいことはたいていわかる
  • 家電量販店に行っても、メーカーの派遣要員が自社製品の自慢をするだけ
  • 家電量販店は終わっている(?)

冷静に考えれば、同じことが本当ならヨドバシカメラにもあてはまるはずです。

IMG_0178札幌パークホテル / 中島公園 @札幌市 2011.11.13

家電量販店の真の問題は、同じ商品がネット販売で安く売られているので、家電量販店では買ってもらえなくなったというようなことではありません。ひとことで言うと、家電量販店のサービスの質の低下がお客様からの信頼を得られない原因を作ってしまったのです。

どういうことかと言うと、家電量販店で商品説明をするのはメーカーの派遣要員であり、社員はレジ打ち専門で、商品知識ゼロです。おまけに、たとえば、PCとソフトウェアの売り場は違うため、まとめて買うと在庫調べや精算・配送の手続きで20分から30分かかるのはざらです。これでは、家電量販店で現物の商品を調べて、ネットで買っても効用は同じですから、ネットに流れるのは当然です。ネットならクリックしたら次の日に届けてくれますからね。

購入する側からすると、メーカーの人間ほど信用できないものはありません。自分のところの商品をいいと言うに決まっていますからね。量販店は、商品知識をメーカーにまかせることでコスト削減とサービス向上をしたつもりかもしれませんが、実際の効果は真逆でしょうね。そんな簡単なことがわからないから、価格競争をするのです。商品とサービスが同一なら、最後は価格で勝負。一番ありそうな単細胞シナリオです。

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ところが、実際はどうかというと、そんな家電量販店の考えはまったくあてはまりません。価格.comには、どこが安いか、競合商品と比較するとどうか、購入したお客様の満足度や問題点は何かなど、知りたいことのほとんど全部が出ています。しかし、問題なのは、たいていの場合、書かれていることの意味がわからないか、完全に理解できないことです。なぜ型落ち商品を買ったらダメで、新商品の機能・性能のどれが買うに値するのか、さっぱりわからいのです。3D TVが割高でも買うに値するかどうか、判断する良い材料はどこにもありませんでしたし、それが一時的な流行で、あるいはメーカーの価格維持戦略のひとつで、やがてすたれるものなのかどうかもわかりませんでした。「それで、実際のところ、どうなの?」お客様は納得できる説明がほしいのです。

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量販店の販売員から「スピーカーAとスピーカーBでは、価格・材質が違いが音質の差になっています」という説明を受けたことがあります。それでは何の意味もありません。「同じ入力ソース/機材を使ったとき、スピーカーAとスピーカーBではこの音域に差が出ます」というのであれば、もっと質問してみたいし、聴き比べたい気もします。スピーカーの材質の説明を受けたところで、何の役にも立ちません。

「東芝のWindows 8 PCとLenovo PCでは、できることは同じです」と言われているのと同じです。知りたいことは、メモリ容量が多ければ何がいいのか、CPUが速ければ自分の場合、何かいいことがあるのかどうか、そんなことです。自分にとっての効用について知りたいのです。

対面営業であれば、そうしたことについて総合的に勉強しておけば、どの商品が売れ筋で、お客様はどの点を評価しているか、故障率やクレームからみてどれが有利か、とお客様の知りたいことに一歩近づいてお話できるはずです。ところが、いつも、答えが返ってこないのです。家電量販店の教育システムはどこを向いているのでしょうね。それがちゃんとしていなければ、Amazon.comに負けるのはあたり前です。

それでも、ヨドバシカメラの故障・修理の受付はだいぶ進化してきています。故障原因について適切なコンサルができるようになってきています。以前は、「うっかり落としてボタンがきかなくなったのですね」、ピリオドだったのですが、最近では、「ケーブルがからまって落としたのなら、直接地面に落ちたのではなく、30cmのところで一旦とまってから落ちたのですね」くらいまでは聞き返してくれます。30cmから落ちたのと、170cmのところから落ちたのでは故障原因が違いますからね。

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しかし、売り場では、相変わらず、メーカーの派遣要員が巾をきかせています。最後は、最低価格保証で対応すればいい。

「ええ、Androidならどこのキャリアでも、どのメーカーでも同じですよ。どこにでも電話がかけられます。インターネットもできます。ところで、安堂ロイド君、お客様をiPhoneの売り場に案内して。」

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